バレンタインデー(2月14日)渡辺カズキ

バレンタインデーといえば。


小学校4年のバレンタインデー。
廊下で突然女子様達に制止させられた。何事かと思って立ち止まると、取り巻きの中から1人モジモジと近づいてくる女の子が。
同じクラスの女の子だ。
手には赤く輝く包装紙。
廊下は既にお祭騒ぎだった。
それはもう誰が見ても明白だった。
女子様との交流に慣れていない僕はどうしたらいいか分からず、あまりの恥ずかしさと取り巻き女子様達の脅威から、その場から逃げ出してしまった。
おいコラと追いかけてくる取り巻き女子様達。
本当に怖かった。
すかさず男子トイレに逃げ込むと、さすがに聖域には手が出せないのか女子様は入ることが出来ずその昼休みは一命をとりとめることが出来た。

そして帰りのホームルーム。
僕にはわかっていた。
放課後になった瞬間追いかけてくる。
そして1度逃げてしまってるから、もう逃げることしか考えられなくなっている自分がいた。
何としてでも渡してやるという女子様と、何としてでも逃げてやるという僕の意地と意地のぶつかり合いが、下校チャイムと言う名のゴングと共に切って落とされた。
1人猛然と走り出す僕。
一瞬目の前にその女の子が現れるが、意地になっている僕は止まる事が出来なかった。
廊下を全力疾走する僕。
その女の子は足が遅かったため、赤く輝く包装紙を他の取り巻き女子様に託した。
その女子様からさらに足の速い女子様へ、リレー方式で僕との差を縮めて来た。
そして僕は下駄箱でもたついてしまい、靴を履いた瞬間に追いつかれてしまった。
が、僕は逃げる。それでも逃げる。
取り巻き女子様は隣にいた既に靴を履いてる男子に赤く輝く包装紙を託した。
「あいつにこれを!」
男子はウキウキ追いかけて来て僕に赤く輝く包装紙を差し出して来た。
「これあげるってよ」
なかなか受け取らない僕にその男子は走りながら無理矢理持たせようとした。
「いらないって!」
その時手を振り払うと、赤く輝く包装紙は宙に舞い、冷たい校庭の砂の上に落ちた。
「あっ。」
と振り向くと、包装紙が破け中からはチョコが顔を覗かせていた。
チョコを見つめている男子。
そして僕は、逃げた。

寒空が広がる、苦すぎるバレンタインデーにしてしまった。
それから時は経ち、あれはいつの事だったろうか。
街中でロリータファッションに身を包んだその女の子を見かけた。
僕は当時のバレンタインデーを思い出し、空を見上げた。
あの時と同じ、寒空だった。



という最低なノンフィクションがあります!
小学生ながら本当に最低!
どうして素直に受け取れなかったのだろう。
取り巻き女子様の脅威たるや!
もう逃げない。もう逃げないよ!
ロリータに生まれ変わった彼女はその後きっと素敵なバレンタインデーを過ごしてるに違いない!そうであってくれ!
なので僕にとってバレンタインデーは懺悔の日でもあるのです。
どうかお許しください。
僕は未だにこの思い出を超えるバレンタインデーは経験してません。
皆さんはどんな思い出があるのでしょうか。


『サンシャイーーブラザーズ』に戻りますが、この素敵な集合写真、女子に取り囲まれた上に土肥麻衣子さんに手を肩に置かれてる晋吉さんの茹で上がった表情を見ていただければ、稽古場の良い雰囲気がノンフィクションである事が良く伝わるかと思います!

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